コラム パーツとツールの達人
第5回 鉛フリーはんだ 1
ご存じのように、従来のはんだは用途などによって配合比や添加物的に使用される金属に多少の違いはありましたが、錫(Sn)と鉛(Pb)の合金である点は変わりがありませんでした。というのも、錫単体の融点は約232度、鉛単体での融点は約327度になります。これに対し、錫と鉛の比率が63:37のはんだを「共晶はんだ」といいますが、融点は約184度と大きく下がります。これにより、電気・電子機器を製造する際にも、安全かつ効率よく組み立てができていたわけです。ところがRoHS指令によって鉛を使用できなくなったため、はんだは導電性のある金属の中でも比較的低温で溶ける錫を中心としたものに変化することになりました。ただ、錫単体ではまだ融点が高く、ほかにもいくつかの問題が生じる可能性が高まります(詳細は次回)。そこで、錫を中心とした合金がいくつか模索されることになりました。
さまざまな合金が試された結果、現在JEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association:電子情報技術産業協会)で推奨されている方式が、錫(96.5%)、銀(3%)、銅(0.5%)のはんだになります(第一世代)。専門家の間では元素記号を使い、「SnAgCu系」などと呼ばれることもあるこの方式では、融点が約217~220度とやや高めになりますが、従来のはんだと同等の信頼性があるとの実験結果が出ています。しかしながら、融点が高いことではんだ付けの際に効率が落ちるほか、部品などの熱破壊を引き起こす可能性が高まること。そして銀や銅などの非常に高価な金属を使用していることによって、必然的にはんだ自体が高価になってしまうことなどが欠点といえます。
このほかにも、錫と亜鉛の合金であるSnZn系、銀を含まないSnCu系、SnZnにアルミニウムを加えたSnZnAl系などが主な鉛フリーはんだの種類になります。さらには、融点を下げる効果があるレアメタルのビスマス(Bi)や、インジウム(In)、アンチモン(Sb)などを添加したものなどまで加えると、非常に多くの合金が試され、そして販売されています。ただ、いずれの方式も一長一短があるほか、開発から間もないため、必然的にテストの期間が短くなってしまい、結果として環境や経年による変化、そして毒性などの情報が少ないことが懸念されています。
なお、現在ではSnAgCu系も第二世代へと進化し、銀の比率を1もしくは0.3%、銅を0.7%にし、高価な銀の量を抑えることで低価格化した製品が登場しました。しかし第一世代よりもやや融点が上がってしまうこと、そしてヌレ性が第一世代に比べてやや劣るなどの欠点が指摘されています。もちろんこれに関しては、フラックスの改良などによってヌレ性については改善される傾向にあり、融点が高いこと以外の欠点は克服されつつあります。さらに融点も、前述のビスマスなどを加えることで下げる方法があり、こちらも改善されつつあります。そして今後は、銀の比率をさらに下げることで、低価格化を目指した製品の研究も進んでいるようです。







