コラム パーツとツールの達人

第5回 鉛フリーはんだ 1

・個人レベルでの鉛フリー

このように、従来のはんだと非常に近い特性があるとはいえ、鉛フリーはんだにはまだいくつか解決しなければならない問題が残っています。そのため、現在でも自動車分野、宇宙開発分野、医療機器、パチンコ産業などでは鉛を含んだはんだが使用されることが多いといわれています。いずれも高度の信頼性と、過酷な使用環境に耐えるものが要求されるため、すぐには移行できないのです。とはいえ、このような業界も近い将来には鉛フリー化を目指さざるをえないのは確実ですが、まだ多少の時間を要するようです。

一方、個人レベルで考えるとどうでしょう。確かに鉛フリーはんだには、従来と違う部分がいくつかあります。しかしながら、製造装置などではなく、手作業で限られた個数のはんだ付けを行う個人レベルで考えるなら、あまり大きな差異は無いと考えても問題ないレベルだといえます。

筆者も、実際に鉛フリーはんだを使って何度もはんだ付けを行っていますが、はんだの溶け具合やなじみ具合などに多少の違いを感じるものの、実際の作業上ではさほどの違和感を覚えることはありませんでした。また多くの問題に関しては、すでに解決方法が見つかっており、それを鉛フリーはんだの欠点ととらえるよりも、特性であると考えれば、それに対応可能な方法を実践すればいいだけの話です。

もちろん輸出入に関係のない個人レベルの電子工作であれば、従来の鉛入りはんだを使用するのも問題ありません。特にQFPのように、非常に細かいピッチの足を確実にはんだ付けする際などは、やはり鉛入りの方が使いやすいと思います(慣れれば十分に可能な範囲ではありますが)。そのため個人的には、鉛入りと鉛フリーをはんだ付けするポイントによって使い分けるようにしています。皆さんにも同様の方法をお勧めするわけではありませんが、個人レベルであればこのような使い方もあるということです。

もちろん環境に配慮するのなら、個人レベルでも鉛フリー化するのはすばらしいことです。ただ、従来の鉛入りはんだをゴミとして適切に捨てたとしても、結局は環境への負荷を与える可能性は否定できません。それならば、従来のはんだは、はんだとしてきちんと使い切り、新たにはんだを購入する際は、鉛フリーを選択するというのも、ひとつの環境対策なのかもしれないと感じます。

さて、今回は鉛フリーはんだの現状について紹介しました。次回は、現在判明している鉛フリーはんだ固有の問題と解決方法を中心に、はんだゴテのトップメーカーである太洋電機産業への取材を行い、はんだゴテメーカーとしての鉛フリー問題への取り組みなどを紹介していこうと思っています。