コラム パーツとツールの達人
第7回 ACアダプタ
さて、前記のようにACアダプタは交流を直流に変換してくれる機器ですが、その変換方法にはいくつかの種類があります。
現在、最も普及しているのはスイッチング電源方式です。この方式では一度高周波に変換して、任意の電圧に降圧します。したがってサイズの小さな高周波用のトランスを使用するため、結果として全体的にコンパクトになります。しかもスイッチング電源方式は変換の効率がいいので、発熱も少ないという特長もあります。さらに定電圧であり、負荷による電圧の変動がほとんどありません。
しかしその半面、部品点数がどうしても多くなってしまい、コストがほかの方式に比べてやや割高になります。そして、一度高周波に変換するという動作上の宿命により、出力に高周波ノイズが混入してしまうこともあります。
スイッチング方式なので、部品点数は多めだ。
続いて多いのが、トランス型のACアダプタです。スイッチング方式が主流になるまでは、ほとんどがこの方式でした。回路は非常に単純で、まずトランスで、任意の電圧に降圧します。そしてダイオードによる整流を行い、コンデンサなどを用いた平滑化回路を経て出力されます。そのため部品点数が圧倒的に少なく、非常に安価で製造可能です。
ただし、一般的なトランス型ACアダプタには安定化回路が搭載されていないため、負荷によって電圧が変化してしまいます(表示されている電圧は、規定の電流量となったときのもの)。また、簡素な平滑化回路を採用したものも多く、こういった製品では出力に交流成分であるリップル(脈流)が出てしまいます。さらに変換の効率が悪いため、発熱も多めになってしまいます。
もちろん、トランス型にもきちんとした整流回路や、安定化回路を搭載したものも存在します。このような製品では、負荷による電圧の変化やリップルの心配はほぼ不要となり、スイッチング型のような高周波ノイズの混入もありません。ですが、当然のことながらスイッチング方式のものよりも部品点数が増え、設計も面倒です。そのためかなり高価になるほか、筐体も大きくなります。こうなるとACアダプタというよりは、専用の外部電源とか、使用目的を限定した安定化電源と言った方が適切かもしれません。そのため現在では、一部の高級な音響機器などに使用される以外は、あまり見かけません。
このほかに、変圧器、整流器、コンデンサのみで構成された簡易型のACアダプタも存在します。この場合、他の方式に比べて小型化が容易ですが、大容量の電流を取り出すことは困難です。また平滑化回路が簡易なので、当然のことながら出力される直流の波形も乱れているものが多いようです。したがって波形をさほど気にする必要がなく、電源容量も求めない、充電用途などの小規模な機器用として利用されています。
このようにACアダプタには、大きく分けて三つの種類があるわけです。ただ、既成の電気・電子機器で使用する場合は、これらの違いを意識する必要はほとんどありません。というのも、製品自体に付属しているか、専用のオプションとして設定されているものを使用するのが基本となるからです。一方、自作の回路などに用いる場合は、いずれも一長一短があるため、一概にどの方式が優れていると断定することはできません。つまり、利用目的に応じて、最適な方式のものを選択することになります。







