コラム パーツとツールの達人

第4回 電子工作の基礎、はんだの考察

・はんだゴテの歴史

初期のはんだ付けは、溶かしたはんだを接合部分に流し込む方式だったわけですが、微細な加工が必要な時代になると、それだけではなかなかうまくいきません。そこで過熱した金属をはんだにあて、その場ではんだを溶かして接合するはんだゴテの登場です。

初期のはんだゴテは、ニクロム線のヒーターを持ち、コテ先には熱伝導の良い銅を用いたものが大半でした。ただ銅は、はんだの原料である錫と非常に結びつきやすく、はんだ付けを行うたびに徐々に減っていきます。また酸化による皮膜も付きやすく、黒く酸化したこて先では、うまくはんだが乗ってくれないため、ヤスリを手元に置いて、定期的に被膜を落とす必要もありました。そこで考えられたのが、銅の芯に鉄メッキを施した、現在のコテ先です。これによって、こて先の減りは圧倒的に少なくなり、同時にヤスリがけによるコテ先のメンテナンスも不要になりました。

もちろん現在のコテ先でも、ヤニなどによる被膜は多少付きますが、コテ先が汚れてきたら水を含ませたスポンジなどでぬぐうことにより、簡単に被膜が落とせます。逆にヤスリを使用すると、メッキがはがれてしまうため、コテ先を削る行為は現在では禁忌のひとつとなっています。なお、ステンドグラスや板金などに用いる大型のはんだゴテの場合、熱伝導などを重視して、現在も銅をそのまま使っている場合が多く、そのような製品は昔ながらのヤスリがけが必要になる場合もあります。

コテ先の進化に伴って、はんだ付けの効率は格段に進歩しました。ただ、連続してはんだ付けを行う場合、はんだを溶かしたときなどに、こて先の温度が急激落ちることが問題となりました。はんだに熱を奪われるわけなので、当然こて先の温度は急激に低下してしまいます。しかし従来のニクロムヒーターでは、その温度回復に時間を要するため、効率のいい連続はんだ付け作業ができません。そこで立ち上がりが早く、熱回復に優れたセラミックヒーターが用いられるようになったのです。

またセラミックヒーターの場合、電源との絶縁がやりやすく、こて先への漏電を起こす可能性が激減しました。そのため、現在電子工作で使用されるはんだゴテのほとんどは、セラミックヒーターによる加熱方式になったのです。一部にはセラミックヒーターだと静電気による破壊を防ぐといった認識を持っている人も居るようですが、通電後の立ち上がりが早いこと、温度の回復が早いこと、そして漏電の可能性が少ないことがセラミックヒーターのメリットなのです。

なお、はんだゴテの大きさは、加熱対象の大きさによって選ぶべきです。加熱対象が広い面積であったり、太い導線であるなら、当然のことながら大容量のはんだゴテと太いコテ先が必要となります。また対象が微細なものであれば、低容量のもので十分ということになります。つまり理想で言えば、はんだ付けする対象によって数種類のはんだゴテを使い分けるようにしたいのです。しかし、何本もはんだゴテを持つのはちょっと面倒だと思うのであれば、30~40W程度の製品が、広範囲に使えて便利です。ただ電子部品には、高温に晒されると機能が破壊されてしまうものも少なくありません。いわゆるトランジスタやICなどの半導体部品は、熱に弱いものが多いようです。そのため、熱に弱い電子部品には15~20W、それ以外の電子工作には20~40W程度の熱容量を持つはんだゴテを使用するのが一般的になっていることも付記しておきます。